会社概要

業種食料品製造業
年商売上18億円
本社所在地愛知県内

従前の経営課題

  1. 社長のトップセールスにより、新しい製品分野に進出して一定規模の収益事業を築いたものの、全てにおいて社長の指示もしくは承認が必要で、社長のキャパシティ以上に売上が拡大しない状況に陥っていた。
  2. 規格外品の発生率が高く、それが納期やコストアップに影響しており、社長としては早晩ものづくり基盤の強化を図る必要があると感じていた。規格外品が発生する理由として、入手する原材料が天然物で品質が一様でないこと、受託品の突っ込みによる計画の混乱、人がすぐに辞めてしまいノウハウやスキルが承継されにくい状況などがあった。
  3. 社内には「ワンマン経営者に対して何を言ってもダメ」「余分なことは口に出さない方がいい」という閉塞感が充満し、製造部内においては、改善活動(小集団活動)は停滞ぎみで、問題意識さえも冷え切った状態にあった。

対応策

  1. 製造現場のグループ単位で、マンダラシートを活用して「身の回りの小さな問題について意見を出し合う」小ミーティングを実施するところから始めた。問題を解決することが狙いではなく、「皆で意見を出し、意見を聞く」といった習慣をつけることに主眼をおいた。
  2. 「ものづくりのスペシャリストを育てる(マイスター作戦)」をテーマに、まずはトラブルシューティング集の作成に取り掛かった。製造工程ごとに発生するトラブルを想定し、その原因を突き止めるための「診断チャート」を作成し、原因に対する対応策をまとめた。
    これは、個人に依存するノウハウや知識を「見える化(形式知)」することで、技能の伝承やローテーションを促進することが狙いである。
  3. コンサルタントがコーディネータ役となり、社長と若手社員数名による「座談会」を数回に亘り実施した。この座談会の目的は、実利や結論を求めるのではなく、トップと社員の相互理解や共感を得るためのきっかけづくりであるので、テーマは業務とは直接関係の無いものを取り上げた。

成果

  1. それまで朝礼や夕礼では業務連絡や作業指示のみで、問題提起や改善安を話し合うようなことは無かった。しかしマンダラシートを活用することでグループ内のコミュニケーションのあり方に変化が見られた。20分程度の話し合いの中で、スピーディに楽しく意見を出し合うようになった。普段しゃべらない人も意見を出すようになった。そして自ずと自分たちで決めたことを実践するようになっていった。
  2. 何かトラブルが発生するとその対処方法は人によって異なっていたが、トラブル対応を標準化することができた(ポンプやモーターのトラブル対応など)。また、普段無意識のうちにやっていたことを明文化することで、曖昧となっていた対処方法を整理することができた(知識の整理整頓)。これにより後進の育成やローテーション計画が立てやすくなった。
  3. 若手社員が、普段は話したことがない、あるいは遠い存在であると思っていた社長とざっくばらんに話しをすることで社長に対する親近感を感じたようである。また、上司から見聞きする「つくられた社長像」とは違った印象を抱くようになった。社長の思い描く夢やビジョンを社員と共有できるようになるのは少し先になるが、その素地をつくることは叶った。